【ついに上場廃止に。。】テラの騒動から見る個人投資家の対応策

会計

どうもこんにちは、じょんです。

少し前に発表されたコチラの記事。

テラ、きょう上場廃止 コロナ薬開発疑惑響く - 日本経済新聞
バイオベンチャーのテラが23日、上場廃止となる。がん免疫細胞療法を手がける東京大学発スタートアップとして創業時に注目を集め、2009年にはジャスダック・ネオ市場(当時)に上場を果たした。だがその後は業績が低迷。新型コロナウイルス薬の開発を巡る虚偽情報の開示で信頼を失った。テラは、東海大学医学部出身の矢崎雄一郎氏が200...

以前にも当ブログで触れていたバイオベンチャーのテラが遂に上場廃止となりました。

今回触れたいのはテラの会計不正そのものについてではなく、こうした粉飾決算が発覚した企業は相当のダメージを被ること、そして、
私たち投資家もこうした企業に投資をしていた場合には大きな痛手を受けるということです。

粉飾決算が株価に与える影響

以前に以下の記事でも触れましたが、『管理銘柄』に指定されたことを受け、2021/10/29の終値は133円であったのに対して、翌営業日にあたる2021/11/1の終値は108円と20%弱の暴落、その後2021/11/5の終値は95円にまで急落しました。

【上場廃止は確実か】管理銘柄に指定されたテラ株をすぐに売るべき理由
このように、一時会計監査人の選任が実現しないとなると、このまま2021/12/15の期限を迎えて上場廃止となるわけですが、正直その可能性は相当程度に高いというのが筆者の感覚です。 そして、上場廃止になれば投資家が持つ株式の価値というのは多くの場合0円となります。

同様に、2021年11月に粉飾決算の疑いがあると指摘されたグレイステクノロジーの株価推移については、以下の通り急落しているのが見て取れます。

このように、会計不正(の可能性)が明らかになると当然の市場からの信用は失墜しますから株価は急激に下落するわけです。

監査法人による会計不正の発見可能性

このように、個人投資家にとっても非常に影響のある会計不正ですが、こんな疑問を持たれる方もいるかと思います。

上場企業って監査法人の監査を受けているんだから、不正なんて見つかって当然でしょ?
不正を見つけられないなんて、監査法人は何をしてたの?

たしかに、投資家の保護を目的として、上場企業については監査法人や会計事務所による会計監査を受けることが義務付けられており、市場からは監査法人等による監査の過程でこうした会計不正の発見が期待されています。

しかし、会計不正というのは、こうした監査法人等による監査で発見されないように、うまく証拠を隠蔽したり、ときには監査法人等がチェックをする契約書などの資料をねつ造したりすることもあり、全ての会計不正を監査法人が発見することは現実的に不可能であるといえます。

ですから、私たち個人投資家も、『多かれ少なかれ投資対象とする企業には何らかの会計不正が含まれているんだ』くらいの気持ちでいた方が賢明だと考えます。

個人投資家の対応策

そんな会計不正について、私たち個人投資家ができることとして、

①不正のリスクが高いと判断できる会社に対しては投資をしないこと、そして、
②その判断はできれば投資前に、また、定期的に見直しを行い、リスクが高まってきていると感じたら投資を回収すること

を検討されてみてはいかがでしょうか。

監査法人でも発見できないなら、私たちが不正のリスクなんて判断できるわけないよね?

と思われる方もいるでしょうが、実は会計不正の手口は類型化されており、個人投資家でもある程度その兆候を把握することは可能です。

以下は、日本公認会計士協会が公表している会計不正の手口を纏めた資料のURLです。

https://jicpa.or.jp/specialized_field/files/2-3-5-2-20220627.pdf

例えば、4頁に記載の通り、直近2022年3月期の会計不正のうち、手口として一番多かったのは『売上の過大計上』となっています。

シンプルな例ををいえば、コロナ禍で大きなダメージを受けたはずである飲食業界の企業の売上高が、
withコロナの期間中に大きく伸びていたり、もしくは、同業他社との比較でダメージが極端に少ないようであれば、

『コロナ禍への対応が優れていたのか、もしくは、売上の過大計上かもしれない。投資をする前にまずは数字の背景を調べてみよう。』

といった考え方ができるわけです。

この考え方は、テクニカル分析により株価のチャートのみを見て投資をしている方にとっては難しく、
ファンダメンタル分析がこうした会計不正をはたらいている企業への投資を避ける手段として役立つことを意味しているといえるのではないでしょうか。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

会計不正というのは、企業によって手法がまちまちであり、実際に発見することは専門家をもってしても非常に難しい反面、一定のリスク分析であれば個人投資家でもある程度実施することは可能です。

次回は、実際の不正事例を参考に、不正の兆候がどのように財務数値に現れるのか解説していきます。

それではまた。

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