【会計監査人現る】あの監査法人はテラ上場廃止回避の救世主となるか

会計

この記事は以下のような方にオススメです。

こんな方にオススメ!

  • 『管理銘柄』となったテラ株式会社の動向が気になっている方
    ⇒一時会計監査人就任したニュースについて解説しています。
  • テラ株を保有しており、対応を悩んでいる方
    ⇒早期に売却すべきと考える筆者の見解について解説しています。

どうもこんにちは、じょんです。

先日以下の記事で触れたテラの管理銘柄指定の件。

【上場廃止は確実か】管理銘柄に指定されたテラ株をすぐに売るべき理由
このように、一時会計監査人の選任が実現しないとなると、このまま2021/12/15の期限を迎えて上場廃止となるわけですが、正直その可能性は相当程度に高いというのが筆者の感覚です。 そして、上場廃止になれば投資家が持つ株式の価値というのは多くの場合0円となります。

上場廃止の可能性が高いという内容をまとめていましたが、2021/11/11付で一時会計監査人が選任されたことがリリースされました。

上場廃止の可能性の観点からは、『一命を取り留めた』という結果となったわけですが、まだ予断を許さない状況には変わりなく、筆者としては以前として早期にテラ株は手放すことが望ましいと考えており、今回はその背景について解説していきます。

なお、あくまで個人の見解ですので、最終的な判断は皆さんが十分に考えた上で下して頂ければと思います。

一時会計監査人選任の概要

以下は、テラの一時会計監査人選任に係るリリースを抜粋したものです。

 当社は、2021年10月22日付で当社の会計監査人であった有限責任開花監査法人より監査契約の解除通知を受けておりました。その後、当社では、新たな会計監査人の選任を進め、HLB Meisei有限責任監査法人から一時会計監査人就任についての承諾を得たことから、本日開催の監査等委員会において、会社法第346条第4項及び第7項の規定に基づき、HLB Meisei有限責任監査法人を一時会計監査人に選任することを決議いたしましたので、下記のとおりお知らせいたします。
                    <中略>
 東京証券取引所の上場廃止基準により、四半期レビュー報告書を添付した四半期報告書を法定提出期限の経過後1ヶ月(同年12月15日)までに提出できなかった場合、当社株式は整理銘柄に指定された後、上場廃止になります。なお、提出が遅延している同四半期報告書について、当社では、今後、法定提出期限までに提出できるよう、HLB Meisei有限責任監査法人との連携強化を図り、早期の提出に向けて取り組んでまいります。

引用元:https://contents.xj-storage.jp/xcontents/21910/293d5925/4aa1/477d/a38a/06ceac997dba/140120211111433218.pdf

一時会計監査人の選任により、監査手続が再開され、テラとしては上場廃止の期限内に四半期報告書の提出に向けて注力していくという内容のリリースとなっています。

選任された監査法人の概要

テラからすれば、まさに救世主のような存在が見つかったわけですが、就任した『HLB Meisei有限責任監査法人』という名前、長いこと監査に携わっていた筆者も聞いたことがありませんでした。

「また新興の監査法人が立ち上がったのか」と思いながら調べてみたのですが、監査業界では有名な『明誠監査法人』が2019年に法人名を変更していたとのこと。

「なるほど、あの明誠が。」

と筆者としては今回の一時会計監査人就任に納得がいきました。

HLB Meisei有限責任監査法人の歴史

法人名を変更する前の明誠監査法人は2005年に設立された中堅の監査法人で、上場企業の監査を現在でも数社担当されており、監査実績のある監査法人であると言えます。

一方で、監査業界内で有名なのは負の実績の点にあり、2016年に金融庁より行政処分の勧告を受けたことが話題となりました。

 公認会計士・監査審査会(以下「審査会」という。)は、明誠有限責任監査法人(以下「当監査法人」という。)を検査した結果、下記のとおり、当監査法人の運営が著しく不当なものと認められたので、本日、金融庁長官に対して、公認会計士法第 41 条の2の規定に基づき、当監査法人に対して行政処分その他の措置を講ずるよう勧告した。
                    <中略>
 当監査法人は、誠実でかつ高度な専門技能を有する人材を育み、チームワークにより高品質なサービスを生み出す旨の経営理念を掲げ、赤字が継続している会社や継続企業の前提に疑義が生じている会社など、監査リスクの高い監査業務の受嘱を続けている。また、当監査法人の統括代表社員を含む全社員は、当監査法人は監査リスクの高い被監査会社に対応できる監査の品質を維持していると考えている。
 しかしながら、当監査法人は、検査基準日において、公認会計士法が規定する業務管理体制の社員要件を満たしていないほか、監査を実施するための人的資源を十分に確保していないなど、監査リスクに見合った組織的監査を実施する態勢を構築できていない

引用元:https://www.fsa.go.jp/cpaaob/sonota/houdou/kankoku/meisei.pdf

上記は一部抜粋ですが、その他にも、『品質管理態勢は著しく不十分である』、『監査の基準に準拠していない監査手続が広範に認められる』、『審査体制は著しく不十分である』、『改善に向けた取組状況は著しく不十分である』などなど、様々な観点から厳しい指摘がなされています。

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また、上記抜粋の通り、明誠監査法人は比較的リスクの高い企業の監査業務を受託することが多く、テラのように管理銘柄に指定されている企業の監査を数多く手掛けています

例えば、JASDAQに上場している株式会社プロパストは新日本監査法人との間での『意見の食い違い』を理由に2009年1月16日に監査契約を解除、同日に一次会会計監査人として明誠監査法人が選任されており、今回のテラのケースと類似しています。

気になるのはその後の対応であり、就任後わずか13日後の2009年1月29日には2009年5月期第2四半期報告書の提出にまで至っており、金融庁からの処分勧告も踏まえると、本来求められる水準の手続は実施できていなかったのではないかと推察されるわけです。

なお、翌2009年5月期第3四半期報告書については『結論不表明』とした点も話題となり、上場維持を目的としたオピニオン・ショッピングに加担したのではという見方も当時はあったようです。

テラの今後の動向

上場廃止となる期限までは1カ月しかありませんから、会計監査人が不在となった背景にある不適切会計の疑いのある取引を十分に検討する時間は正直ないのではないかと考えられますが、先例からも、恐らくHLB Meisei有限責任監査法人は何らかの監査意見を表明することで、上場を維持する可能性がやや高まったと言えるかと思います。

一方で、仮に上場を維持し、今後時間を使って調査・検討を行った結果、プロパストと同様に意見不表明となることも十分に考えられますので、やはり余談を許さない状況にあることは間違いなく、テラ株は早期に処分して、有望な投資に舵を切った方が望ましいというのは筆者の考えです。

おわりに

いかがでしたでしょうか。

近々の上場廃止の可能性はやや低まったものの、今後の投資判断は引き続き慎重に行っていくべきというのが筆者の見解です。

投資は自己責任で。

それではまた。

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