森岡氏は『消費者視点』でどうやってUSJをV字回復させたのか?

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どうもこんにちは、じょんです。

皆さんは『刀』と聞いてどんなイメージを思い浮かべますでしょうか?

そうですね、皆さん同様に、ほとんどの方はマーケティングの精鋭集団『株式会社 刀』のことを思い浮かべたのではないでしょうか。

というのは冗談で、聞いたことがない方もいるかもしれませんが、あのUSJのマーケティング責任者として、経営をV字回復させたことで有名な森岡毅氏が代表を務めるのがこの刀なのですが、今回はその森岡氏によるマーケティングの入門書を読んでみました。

『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』

先にも触れた通り、著者の森岡氏はマーケティング業界の超名門として知られるP&G出身で、その後経営危機にあったUSJをマーケティングの手法を用いてTDLを上回るまでにV字回復させた英雄として知られているお方。

どうやら、森岡氏は『消費者視点』というたった1つの考え方をUSJに浸透させることで、見事にV字回復を果たしたというのですから、その詳細は非常に気になるところ。

本書では、USJの実例をふんだんに交えながら、マーケティングの本質や、マーケターになるための手ほどきをしてくださっています。

本書は以下のような方には是非オススメです。

こんな方にオススメ!

  • マーケティング業界で働くことに興味がある大学生
    ⇒日本のマーケティング業界の実態を把握できます
  • マーケティング部に配属されるも何から手を付けたらよいのか悩んでいる社会人
    ⇒マーケティングの基礎知識が身につきます
  • USJファンの皆さん
    ⇒USJの取り組みの背景を楽しく学べます

森岡氏が変えたのは『消費者視点』に立つということだけ

本書でも何度も出てくるキーワードがこの『消費者視点』です。

意味はそのまま「消費者の視点」なのですが、モノを売ろうとするときにはこの消費者視点にたって考えることが最も重要だというのです。

そしてよくありがちな企業の失敗として、『消費者が欲しがるだろうと思って企業が作るもの』と『消費者が本当に欲しいもの』とは、必ずしも一致しないということが本書では書かれています。

これは皆さんにも経験があるのではないかと思いますが、例えば筆者にとってのスマホというのはまさにその典型です。

最近のスマホって『ホントにその機能って必要?』と疑問を持つような機能が搭載されていたりしませんか?

もしかすると皆さんにとっては便利な機能なのかもしれませんが、筆者のようなオジサンからすると、いわゆる顔認証でロックを解除できる機能、指紋認証なりパスコードで十分だと思います。

また、最近ではカメラの性能もシリーズが変わるごとに良くなっていますが、正直筆者からすれば、そこにお金をかけなくていいらもっと安い値段で売ってくれなんて思ってしまうわけです

このように、企業の思惑と実際の消費者の要望との間の差が大きくなると、消費者としてはその商品を購入しなくなってしまいますので、企業としては、やはり消費者が本当に欲しているモノ/コトが何なのかを突き詰め、それを実際に作っていくことが求められているということです。

ちなみに、もしかすると企業側としては、価格を維持するためにやむなく不要な機能を付加しているということもあるのかもしれませんが、それでは消費者視点に立っているとはいえませんよね。

なにしろ筆者のような消費者が求めていないわけですから。

日本企業の多くはマーケティングが出来ていない

先に挙げたスマホの例、あれはiPhoneをイメージして説明したのですが、それでもiPhoneは世界中で人気のある機種であると言えます。

それは一重にiPhoneの、もしくはAppleという企業やスティーブ・ジョブズという人物のファンが広く世界中にいるからであり、つまりはブランド価値を有していることに起因しています。

ではこのブランド価値をどのように形成していくのかということですが、そこでマーケティングの出番がやってくるわけです。

優れたマーケティングは入念な調査を基に、世間に広めたい商品をどのようにして広めていくことが最も効果的・効率的が日々模索しているわけですが、その手法の1つにテレビCMがあります。

皆さんもテレビCMを見て商品や企業に興味を持つことは多々あるかと思いますが、どうやら森岡氏に言わせれば日本企業のテレビCMにはムダが多すぎるというのです。

見ていてくすっと笑ってしまうCMがあるのも事実ですが、本来CMの目的というのは視聴者を笑わせることではなく、ブランドを認知させ、ひいては売上に繋げることにあります。

しかし、森岡氏に言わせれば、多くの日本企業は実際にCMがどの程度の売上に貢献したのかを十分に測定出来ておらず、また、そもそも測定することができるだけの能力すら持ち合わせていないというのです。

中々に過激な発言であり、企業のマーケティング担当者からすればたまったものではないですよね。

ただ、どうやら実態として、効果測定についても広告代理店等が作成したレポートに依存している企業も多いとのことで、要はCMの制作側が自ら作成したレポートを信頼しているというのですから、正直内容にどれだけの脚色が付されているのかはわかりませんよね?

最近ではテレビCMを含めたプロモーション活動の効果を測定するために専門のコンサルを雇うケースもあるようですが、少なくともCM作成を依頼する以上は、自社内である程度の効果測定が出来るような体制がない限りは、広告代理店やテレビ局にとっていいお客さんとなってしまうというのが、多くの日本企業が抱えている課題のようです。

この構造は実は会計の世界にも当てはまるのですが、多くの企業は世間に対して定期的に企業の経営成績を開示することが求められるものの、その数値は企業自体が作成するものであり、世間からすると本当にそれだけの成績を残したのかやや疑って見られてしまうわけです。

そんな中で活躍するのが監査法人や会計士の存在であり、彼らは客観的に企業が作成した経営成績の妥当性を評価することで、そこに信頼性を付与することが可能となるのでうが、先に挙げたCM業界においてはまだそういった規制が十分に整備されていないということなのだと筆者は理解しました。

どうやって売るのかを考えるには、誰に売るのかを突き詰めることが大切

冒頭で消費者視点が必要だということについては触れましたが、結局のところモノやコトを売ろうとする場合には、誰に対して売るのかを明確にし、その対象となる消費者が本当に欲しくなるものを作り、本当に欲しくなるような働きかけを適切に行えば、モノやコトは売れる

どうやら、マーケティングというのはそのように出来ているようです。

そして、その起点として考えるべきは、ターゲットとすべき消費者が誰であるのかの属性を捉え、その属性に該当する人間が本当に欲しているものは何なのかを突き詰めることが大事であると本書では解説されています。

ただし難しいのは、消費者が本当に求めているものは消費者自身にとっても認識をしていないことが多いというのです。

少しネタバレになりますが、ある年のUSJにおけるクリスマスの戦略を考える際に、ターゲットを子供がいる両親と設定したらしいのですが、子供は成長すれば親と一緒にクリスマスなんて過ごしてくれなくなる、子供と一緒に過ごせるクリスマスは非常に貴重なんだということを、暗に消費者にメッセージとして伝えるCMをうったところ、集客数は倍増したというのです。

これはつまり、消費者の深層心理を適切にとらえ、それを上手く消費者から引き出すことが売上増に繋がるという好例と言えるのではないでしょうか。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

今回は触れませんでしたが、本書ではマーケティングで実際に用いる5C分析なんかのフレームワークについても触れらてており、タイトルの通り、小難しいマーケティングの専門書よりも、本書の方が入門書としてはよほど適しているのではと筆者は感じました。

また、USJで用いた戦略についても、先に挙げたクリスマスのものだけでなく、ハロウィーン等他にも多く触れられていますので、USJファンの方にとっても、経営の裏側を知る貴重な機会として是非読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた。

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