返品のキーワードは逆仕訳 – 商品売買➂【簿記3級解説#16】

資格

どうもこんにちは、じょんです。

今回は『商品売買』の3回目として、残りの論点について取り上げていきます。

今回のポイントは以下の通りです。

  • 商品仕入の付随費用は『仕入』に含める
  • 売上・仕入の返品は逆仕訳を切る
  • クレジットカード決済は手数料を差し引いて売掛金を計上する

商品仕入の付随費用は『仕入』に含める

商品売買の1回目の解説において、商品仕入を行った際の仕訳は以下の通りと説明をしました。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 100円 買掛金 100円

上の仕訳では商品を買った際の商品の品代を想定していましたが、実務的には、商品を仕入れる際には様々な関連費用がかかります。

例えば、商品を発送してもらう際の発送費が分かり易いですが、商品を仕入れた側がこの発送費を負担する契約になっている場合には、仕訳においてどのように取り扱うべきでしょうか?

答えは、発送費分についても『仕入』勘定に含めて計上するということになります。

例えば、商品の品代が100円、負担した発送費が10円であれば、仕入れた際の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 110円 買掛金 110円

先ほどの仕訳に対して、仕入が10円増えたのが見てわかるかと思います。

ここで1点覚えて頂きたいのは、仕入勘定に含めるべき関連費用の範囲として、商品を仕入れるのに直接要した費用のみが仕入勘定に含められるという点です。

例えば、商品を仕入れる際の契約を結ぶにあたり、仕入先の本社を訪れた際の旅費交通費なんかは仕入勘定には含めず、販管費として取り扱います。こうした費用は商品の仕入れに間接的にはかかっているといえますが、あくまで仕入勘定に含めるのは直接要した費用のみというルールとなっています。

なお、この『直接要した費用を仕入に含める』という考え方は他の資産勘定についても同様のことが言え、例えば株式を購入した際の証券会社への支払手数料については株式の取得原価に含めることが簿記のルールでは求められています。

また、この『直接要した費用』のことを、『付随費用』『諸掛』と表現します。

売上・仕入の返品は逆仕訳を切る

次も実務上はよくある『返品』についてです。

例えば、一度売った商品が返品される、もしくは、一度仕入れた商品を返品することは非常に良くある話ですが、その際は売上・仕入を計上した際の仕訳の『逆仕訳』を切ることで対応します。

この『逆仕訳』という言葉は実務ではよく使われる表現ですが、一度切った仕訳と貸借が逆の仕訳のことを指します。

例えば、一度商品を100円で販売し、その後返品がなされた際の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 100円 売上 100円
売上 100円 売掛金 100円

2行目の仕訳が返品に関する仕訳ですが、1行目の売上計上の仕訳と貸借が逆になっていることが見てわかるかと思います。

なお、例えば、販売した商品に係る売掛金を回収した後に返品がなされることがあれば、その際の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
売掛金 100円 売上 100円
現預金 100円 売掛金 100円
売上 100円 現預金 100円

2行目が売掛金の回収、3行目が返品をそれぞれ表していますが、この場合は純粋な逆仕訳とはならず、返品時には既に売掛金を現金で返金することになります。

また、仕入、及び仕入返品を行った際の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
仕入 100円 買掛金 100円
買掛金 100円 仕入 100円

クレジットカード決済は手数料を差し引いて売掛金を計上する

最後に、これは小売店で良くある話ですが、お客さんがクレジットカードを使って決済をした際の仕訳について解説します。

ご存知の方も多いかと思いますが、クレジットカードを使った決済がなされる場合、商品やサービスを売った側は、クレジットカード会社に対して一定の手数料を支払う必要があります(販売代金の3%程度が相場と言われています)。

そして、売った側は現金をクレジットカード会社から間接的に受け取るわけですが、先に挙げた手数料分が差し引かれて入金がされるわけです。

例えば手数料率が3%の場合、商品を100円で販売した際には、クレジットカード会社からの実際の入金は97円となり、残りの3円はクレジットカード会社の取り分となるわけです。

これを仕訳にすると以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
クレジットカード売掛金 97円 売上 100円
支払手数料 3円
現預金 97円 クレジットカード売掛金 97円

今回のまとめ

いかがでしたでしょうか。

今回の解説をもって、簿記の試験ににおける肝ともいえる『商品売買』についての解説は一旦終わりとなります。

次回は、『純資産』についての解説を行う予定です。

それではまた。

コメント

タイトルとURLをコピーしました