純資産とは『資産と負債の差額』 – 純資産【簿記3級解説#17】

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どうもこんにちは、じょんです。

今回は『純資産』について取り上げていきます。

普段、簿記に触れる機会がない方にとっては『純資産』と聞いてもなんのことやらという状態ではないかと思いますが、今回の解説を機に是非覚えてしまいましょう。

今回のポイントは以下の通りです。

  • 純資産とは『資産と負債の差額』
  • 資本金とは会社の所有者から出資を受けた金額
  • 株主へ配当を支払う際には純資産を減らす

純資産とは『資産と負債の差額』

まずは以下のイメージをご覧ください。

これまでの解説で、簿記で使う勘定科目は5つの区分に分けられ、資産・負債・純資産は貸借対照表(BS)、収益・費用は損益計算書(PL)に使われるということは覚えているかと思いますが、純資産は『資産と負債の差額』として表現されます。

上表では、資産が100、負債が70と仮置きしていますが、純資産は差額の30となります。

この関係は非常に重要なので是非覚えてしまいましょう。

なお、『純資産』のように『純●●』というのは表現は会計の世界では他にも使われますが、『純』は『差』を意味していると捉えてください。
ちなみに『純資産』は英語では『Net Asset』と言いますが、この『Net』の部分が『差』を意味します。

また、『純●●』と対になる言葉として『総●●』という表現も会計の世界ではよく使われ、例えば『総資産』というのは資産項目の金額の合計を指します。

つまり、資産合計が『総資産』、資産合計から負債合計を差し引いた差額が『純資産』という関係になるわけです。

純資産に含まれる勘定科目

さて、純資産が資産と負債の差額であることは理解していただけたと思いますが、次は純資産に含まれる勘定科目について説明していきます。

簿記3級において覚えるべき科目は以下の3つです。

  1. 資本金
  2. 繰越利益剰余金
  3. 利益準備金

資本金

資本金というのは、会社の所有者から出資された金額を指し、株式会社であれば発行した株式に応じて払い込まれた金額のことを指します。

例えば、会社を設立する際に創業者が100万円を持って起業する場合の仕訳は以下の通りです。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現預金 100万円 資本金 100万円

また、事業が軌道にのって、資金調達のために新たに1,000万円分の株式を発行する場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
現預金 1,000万円 資本金 1,000万円

どちらも非常にシンプルですね。なお、純資産項目は借方が減額、貸方が増額となります。

ちなみにこの『資本金』、計上時には資金を伴うのですが、事業活動を行う上で資金はどんどん使われていきますから、基本的には『資本金 = 現預金』とはならない点に留意が必要です。

繰越利益剰余金

『繰越利益剰余金』とは原則として企業が事業活動により稼いだ利益の累計額を指します。

例えば、1年目に100、2年目に200の利益を稼いだとしたら、2年目の終わりの時点での繰越利益剰余金は300(=100+200)となります。

なお、ここでいう利益というのは、損益計算書における『当期純利益』のことを指します。
ですから、決算を経て、損益計算書が確定した際に、最終的な利益として表れる『当期純利益』の金額が、『繰越利益剰余金』に加減算されるわけです。

さて、先ほど『繰越利益剰余金』の説明において『原則として』という枕詞を付しましたが、純粋に利益の累計額とならないケースがあります。

一番多いのは、株主に対して配当金を支払うケースです。

ご存知の方も多いかと思いますが、株式会社の所有者は株主であり、株式会社が稼いだ利益の一部は株主に対して配当金として支払われることが一般的です。

例えば、配当金を100円支払う際の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
繰越利益剰余金 100円 現預金 100円

このように、これまで稼いだ利益の累計額である『繰越利益剰余金』を借方に計上することで減額するわけです。

『あれ?配当金ていう勘定科目を使うんじゃないの?』

と思われた方。
大分簿記の知識が身についてきているからこその疑問かと思いますが、配当金を支払うという行為は費用としては認識されません。

なぜなら、株主に対する配当金の支払いというのは、企業の所有者に対して利益の一部を還元するという性質から、企業外部に対する資産の流出を伴う費用としては認識されないのです。

なお、このように株主等と直接行う取引を『資本取引』と呼び、損益計算書には計上されない取引として覚えておくと良いかもしれません。

また、少し紛らわしいのですが、他の企業の株式を持っている企業が配当金を受け取った場合には、基本的には損益計算書上、収益項目にあたる『受取配当金』を計上することになりますが、この点は別の機会に説明します。

利益準備金

最後に『利益準備金』ですがこれは、企業が配当金を支払う場合に積み立てなければいけない「名目上の」準備金のことを指します。

「名目上の」としたのは、具体的にお金をどこかの口座に預託しなければいけないというわけではなく、あくまで会計上のみ『利益準備金』の増額が求められることによります。

例えば、配当金を10万円支払い、1万円の『利益準備金』を積み立てる場合の仕訳は以下のようになります。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
繰越利益剰余金 11万円 現預金 10万円
利益準備金 1万円

簿記3級の試験においては、問題文でいくらを利益準備金として積み立てるかに関する指示がなされますから、指示された金額を『利益準備金』に増額し、同額を『繰越利益剰余金』から減額すればよいわけです。

なお、利益準備金の見合いが『繰越利益剰余金』となるのは、企業が稼いだ利益の内、一部を内部に留めて置き、もしもの際に備えることを目的としています。

つまり、利益を無制限に配当として株主に還元してしまうと、有事の際に対応するだけの余力がなくなり、企業の存続可能性が損なわれることにもつながりかねず、そういった事態を避けるための措置として、配当時には一部を『利益準備金』として積み立てることが法律上求められているのです。

『利益準備金』の積立金額の計算は簿記2級の範囲となりますが、基本的には一定の上限に届くまで、配当金の1/10に相当する金額を積み立てなければいいけないというルールになっています。
(細かい説明はここでは割愛します)

配当金の計上タイミング

先ほど配当金に関する基本的な仕訳について説明しましたが、最後に配当金の計上タイミングについて触れていきます。

結論からいうと、配当金に関する仕訳は配当金を支払うことが確定した段階、実務的には『株主総会において配当金支払いに関する決定がなされたタイミング』で仕訳を計上することになります。

この株主総会の決定ですが、3月決算の企業であれば、1年間の財務諸表の承認を行う株主総会は6月下旬に開催され、その場であわせて配当金の金額についても決を採ることになりますから、1年目に稼いだ利益に関する配当金というのは、2年目以降に会計上は認識されることになります。

また、実務上は配当金の決議日当日に現金で支払うというケースは非常に稀であり、決定から支払いまでには若干のタイムラグがありますから、実際の仕訳は以下のように、一度『未払配当金』という負債項目を計上し、支払い時に取り崩すというケースが一般的です。

借方 貸方
勘定科目 金額 勘定科目 金額
繰越利益剰余金 10万円 未払配当金 10万円
未払配当金 10万円 現預金 10万円

今回のまとめ

いかがでしたでしょうか。

普段経理等で働いていない方にとって、純資産というのはあまり馴染みのない領域であり、理解するのに少し時間を要するかもしれませんが、少なくとも簿記3級の取得という目的においてはそこまで込み入った仕訳が求められるものではないですので、今回取り上げた内容については理解しておいてもらえればと思います。

それではまた。

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