この記事は以下のような方にオススメです。
- 『コーナーストーン投資』という言葉の意味を知りたい方
⇒一般的な定義について解説しています。 - 『コーナーストーン投資』が用いられる背景を知りたい方
⇒一般に言われるメリット・デメリットについてまとめています。 - セーフィーのIPOの裏側を知りたい方
⇒古田CFOの記事を紹介しています。
どうもこんにちは、じょんです。
以前に記事でも紹介し、先日IPOを果たした『セーフィー』。
そのCFOである古田氏がIPOの裏側について触れたコチラの記事を拝見しました。
普段外側からは中々知ることが出来ないIPOの裏側についても触れられており読み応えのある内容となっていますが、筆者が気になったのは『コーナーストーン投資』という言葉。
恥ずかしながら筆者は知らなかったのですが、投資に興味がある方であれば知っておいて損はないということで、今回は『コーナーストーン投資』について筆者の私見も交えつつ解説していきます。
コーナーストーン投資とは?
まず『コーナーストーン投資』の定義についてですが、一般には以下のように定義されているようです。
IPOのローンチ時に特定の投資家に対して一定の株式を割り当てること。割り当てられた投資家は『コーナーストーン投資家』と呼ばれる。コーナーストーン投資家の存在は目論見書において購入予定金額等と併せて開示される。主に香港やシンガポール市場で用いられ、日本の制度上は『親引け』と呼ばれる。
一般投資家がIPOに参加するには、目論見書を確認し、ブックビルディングを介しての抽選を経て初めて株主になることが出来るわけですが、コーナーストーン投資によれば、目論見書の公表前から特定の投資家を大株主として迎え入れることが可能となるわけです。
このコーナーストーン投資、多くの株式を特定の投資家が有することになるため、一般投資家の保護を目的として、国や地域の規制により異なるものの、主に以下の条件を充足することが求められているようです。
- コーナーストーン投資家の購入単価を上場時の公募価格とすること
- 上場から6か月間は割り当てられた株式を譲渡できないこと(いわゆるロックアップ期間の設定)
- 株式を割り当てられること以外に優先的な取り扱いがないこと
- 目論見書などにおいて十分な情報が一般投資家に開示されること
コーナーストーン投資のメリット
さて、このコーナーストーン投資を用いることのメリットとして一般に言われている点について説明していきます。
優良な株主を企業側から選択できる
先に触れた通り、コーナーストーン投資はIPO前に企業側が特定の投資家に株式を割り当てることを約束することを指しますから、企業側からすれば、上場後も株主として関与してほしい投資家を事前に選択することができるようになります。
通常のIPOでは上場後の株主というのは企業側から選ぶことができませんから、本当に企業のことを評価してくれており、長期的に関係を築いていきたい投資家を株主に選べることは、企業側にとっては大きなメリットといえます。
なお、セーフィーの案件では、Tybourne CapitalとJanchor Partnerという機関投資家2社がコーナーストーン投資家として参加していますが、2社への売出株式数は、公募株式数と売出株式数の合計の内、約79%と非常に大きな割合を占めています。
株価の公正性を訴求できる
上場時の公募価格は主幹事証券が機関投資家等への聞き取り調査を経て最終的に決定されますが、コーナーストーン投資家は投資の前提として、企業のことを十分に調査・評価したからこそ投資に参加することを決定しており、企業側からすれば、主幹事証券や一般投資家に対して、公募価格の適性性をより積極的に訴求することができるといえるようです。
やはり上場前の企業というのは、上場企業と比較して検討材料となる情報の量が圧倒的に少ないですから、安心材料を与えることができるというのは、企業側からすると大きなメリットといえるでしょう。
また、高名な機関投資家がコーナーストーン投資家として参画する企業であれば、主幹事証券・一般投資家からの信頼はなお得やすいといえるのではないでしょうか。
コーナーストーン投資のデメリット
次に、コーナーストーン投資を用いることのデメリットについても触れていきます。
市場価格が歪む可能性がある
これは先に触れたメリットの裏返しにもなりますが、コーナーストーン投資家が入ることで株価の公正性を訴求することができる一方で、コーナーストーン投資家による評価額が実態よりも高い場合、一般投資家は株式を高値で購入することとなり、将来的に株価が実態に近づいた場合に損失を被る可能性があると言えます。
以下の記事では、香港市場においてコーナーストーン投資家として国有企業に多くの株式を割り当てたものの、その評価額が機関投資家のものより高く、結果として、株価が実態よりも高くなるというケースが発生しているようです。
また、コーナーストーン投資家に割り当てる株式数が多くなるほど、市場に出回る株式数は減りますから、需要が見込める企業の場合、受給のバランスが歪む結果として、一般投資家が掴む株価が必要以上に高くなる可能性をはらんでいるわけです。
おわりに
いかがでしたでしょうか。
本件は2012年に親引け制度が緩和されてから、コーナーストーン投資と呼べる案件第1号として市場からの注目が高い案件となっているようで、初値も公募価格を約38%上回ったことから、今後も同様の案件が増えてくることが期待されているようです。
今回の記事は冒頭に挙げた古田氏の記事の他に以下CUHK Business Schoolの解説を参考にしていますので、興味がある方はコチラもご覧ください。
また、セーフィーの概要について、非常に簡単にですが筆者が以下の記事にまとめていますので、気になった方はコチラも覗いてみて頂ければと思います。
https://john-no-blog.com/safie/
それではまた。
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