【レビュー】日本のバフェットが実践する投資哲学とは!?【教養としての投資】

資産形成

どうもこんにちは、じょんです。

世界一の投資家として知られる『ウォーレン・バフェット氏』

その投資手法は一度購入した銘柄を超長期で保有するものですが、
日本にも同様の投資手法を用い、『日本のウォーレン・バフェット』として知られるお方がいます。

それが今回紹介する本書。

『ビジネスエリートになるための 教養としての投資』

の著者である奥野一成さんです。

よくビジネスニュースでも目にしますが、あの『おおぶね』を運用する農林中金バリューインベストメンツ社のCIO(Chief Investment Officer)でもあり、
日本における長期厳選投資のパイオニアとしても知られています。

そしてこの本、間違いなく名著と呼べるものであり、筆者としては久しぶりに名著に出会えたと感じました。

本書は細かい投資のテクニックを解説するものではなく、あくまで投資の考え方・哲学をメインに解説されているのですが、
そもそも細かい投資のテクニックを使うことを『時間のムダ』と思わせるほどに、説得力のある内容となっていました。

そんな奥野さんにより書かれたコチラの本から、筆者が気になった点を3点取り上げて解説していきます。

投資とは不労所得を得る手段ではない

筆者が本書を通して一番影響を受けたのはコチラでした。

本書の冒頭では、ただ受動的に働き得た賃金を貯金するような『労働者1.0』から、
積極的に働き優れたビジネスを見つけて投資をするような『労働者2.0』になるべき、
という構成で話が進むのですが、『労働者1.0』の中には、
「投資は不労所得を得るためのろくでもない考え方だ」と批判される方が多いというのです。

この意見に対する奥野さんの見解として、

投資によって得た利益は決して『不労所得』なんかではない
考えに考え抜いて出した判断に基づく投資を行っている以上、アタマは常に汗をかいており、
額に汗をかくことと同等に取り扱われるべき。

ということが記されています。

実は筆者も密かに『不労所得』という響きに憧れがあり、
いつかは『不労所得』によって生活が出来ればいいなぁなんて思っていたわけですが、
筆者なりに時間と労力をかけて考えた上で投資対象を選定しているわけで(奥野さんからすれば笑われてしまうかもしれませんが)、
その意味で『不労所得』という言葉は適切ではないのかもしれないと気づかされました。

というか、投資により得た利益が『不労所得』と呼ばれるなら、
機関投資家は『不労所得』によって成り立っている企業ということになりますからね。

もしかすると批判的な『労働者1.0』からすればまさにそのように思っているのかもしれませんが、
彼らも毎日神経をすり減らして相場と向き合っているわけでしょうから、
決して『不労』と言い捨てることは出来ないのではないでしょうか。

構造的に強靭な企業を見つけよ

さて話は変わりますが、奥野さん曰く、投資対象の選定においては、

『構造的に強靭な企業』

を探すことが大事であると本書では書かれています。

ここでいう『構造的に強靭な企業』とは、以下の3つを兼ね備えた企業として解説されています。

  • 高い付加価値
  • 高い参入障壁
  • 長期潮流

この中でも特に大事な要素として、2点目の『高い参入障壁』が挙げられておりましたので少し補足しますと、
これは端的にいえば、『他の企業が参入できない(する気が起きない)ビジネスモデル』であることと言えます。

例えばGoogleを例に挙げると、普段皆さんが何かモノゴトを調べる際に多くの方はGoogleの検索エンジンを用いるかと思います。

これはGoogleが最適な検索エンジンとして認知されていることによるものですが、
今から他社がこの検索エンジン市場に参入して、対Googleを掲げて戦っていけるでしょうか?

恐らく答えはNoで、多くの企業も同様にこの検索エンジン市場に参入しようとは思っていないはずです。

これこそが、Googleが構築した参入障壁と言え、この参入障壁により、企業は優位性を長く維持することが可能となるのです。

日本におけるバブル崩壊からの30年は『失われた30年』としてよく形容されますが、
その背景には参入障壁が気づけなかった点が理由の1つとして挙げることが出来るようです。

当時の日本は『モノヅクリ』によって成り上がったことから、

『モノヅクリこそが正義、いいものをつくっていれば売れるのだ』

とばかりにビジネスモデルを大きく変えずに製品を作り続けてきたわけですが、
皆さんのご想像の通り、例えば家電というものは他社でもマネをすることが容易であり、
低下な労働力を背景に品質は最高級といわずとも安価な製品を投入することが可能な中国・韓国・台湾等の企業によって、
既に海外市場における日本ブランドは追いやられてしまっているわけです。

言い方を変えれば、家電など日本が得意としいたモノヅクリの世界は一般的に参入障壁が低く、
かつ、高くするための努力を日本企業が怠ってきたことから、今の地位にまで落ち込んでしまっているということが言えるのではないでしょうか。

その意味で、今は先進的な技術や、業界地位を占めていたとしても、
その業界に対して他の企業が容易に参入できるような状況であると言えるならば、
その地位は簡単に揺らいでしまう可能性があり、少なくとも長期投資の観点からは投資対象には選ぶべきではないということです。

トレンドの先の仮設を構築せよ

先に挙げた『構造的に強靭な企業』の要件の1つに『長期潮流』というものがありました。

これはつまり、長い目で見て時代の流れに沿っているかという観点の話ですが、
この時代の流れに沿っているかと考えるときに私たちがよく犯してしまう過ちについて本書では書かれています。

というのも、『トレンドを表層的に捉えてしまう』ということなのですが、
例えば最近(?)話題の『AI』について、

『これからはAIが来るはずだからAI関連株を買おう!』

と飛びついてしまう方、これ正しく筆者のことなのですが、
AIというのはとても幅広い概念であり、私たちが知らない無数の企業が日々競争を繰り返してます。

つまり何が言いたいかというと、AI業界というのは参入障壁が低いといえるわけです。

そう考えると、これまた先ほどの話に戻りますが、今少し先を走っているAI関連の企業があったとして、
将来の競争において勝ち抜けるかどうか、疑ってかかる必要があります。

そんな中で本書で書かれているのは、AIの技術自体は参入障壁が低いものの、
AIが私たちの生活をより良くするには、学びの種となる一次情報が重要であり、
一次情報を握っている企業こそAIが浸透した後の世界において長期的なトレンドに乗ることができるというのです。

例として挙げられていた企業の1つが米国の大手農機メーカーである『ディーア』という会社。

この企業は今後人口が増え続ける世界が迎えるであろう食糧危機への対応策として、
農業生産の効率化を行う上でかかせない農機を作るメーカーであり、
AIによる農業の効率化を図る上で要となる、農業関連の一次情報を握っていることから、
長期的な時流に乗ることができると見込まれているようです。

どうしても筆者なんかは、インターネットからそれらしい情報がトレンドとして流れてくると、
すぐに飛びつきたくなってしまうわけですが、プロの長期投資家からすれば、
そのトレンドによって本当に利益を得る企業がどこであるのかをじっくりと考察する。

そして、じっくりとした考察が終わった後から飛び乗っても、長期的なトレンドが見込める以上は、利益を得るには遅くないわけです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。

筆者はまだまだ自身は投資の初心者であると自覚していますが、
本書を読んで、トレンドに沿っているから買いだとか、やや短絡的な考えではなく、
本書のキーワードとして筆者が捉えた『参入障壁の高さ』を考えてから投資をする。

そんな長期の視点での投資家になれるよう、日々アタマに汗をかいていかなければと感じました。

本書はこれかた投資を始めようとしている方、投資を始めて間もない方だけでなく、
投資経験が長い方にとっても自身のスタンスを再考するきっかけになるやもしれず、
是非一度手にとってみてはいかがでしょうか。

それではまた。

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