どうもこんにちは、じょんです。
『なんとなくもやもやした雰囲気のオフィス』
『飲みに行けば会社や上司のグチばかり』
『常日頃から同僚とは転職話で盛り上がる』
こういったこと、あなたの会社でも起きていませんか?
最近ではコロナ禍の影響から働き方の概念が変わりつつありますが、
いつの時代でも、そしてどんな会社でも多かれ少なかれ、
ここで挙げたようなことが起きている、もしくは起きる可能性をはらんでいる、
と言えるのではないでしょうか。
今現在そういったことが起きており、かつ、解消をしたいと思っている、
そんなあなたにオススメの本があります。
上村紀夫先生著
著者である上村先生は医師でありながら、
ロンドン大学ビジネススクールにてMBAを取得され、
現在では『ココロを扱うコンサルティングファーム』として設立された、
株式会社エリクシアの代表取締役であるハイスペックなお方。
そんな方により書かれたこの1冊から、筆者が以下の3点をピックアップして解説していきます。
- マイナス感情の発生を防ぐには「入口」から整備する
- 離職は「最適化」すべきもの
- 社員のための施策が「ぶら下がり化」を招く
マイナス感情の発生を防ぐには「入口」から整備する
冒頭で挙げたような事象がどこから発生するのか、
この点について上村先生は社員に蓄積された「マイナス感情」が原因であると説明しています。
このマイナス感情、例えば以下のような場合に生じます。
- 自分では会社に貢献していると思っているのに給料が思ったように伸びない
- 作業効率に影響を与えないと思っているのにリモートワークを上司が(会社が)認めてくれない
- グローバルな仕事が出来ると思って入社したのに配属が総務部だった
マイナス感情を受け取る場面は一人ひとりの考え方によって左右されるものの、
社員が求めるものと会社が与えるものとの間に差が生じる場合に、
どうやらマイナス感情が生まれるということのようです。
そして、一人ひとりマイナス感情の捉え方が異なるのであれば、
そもそも全ての社員からマイナス感情を除くことなど出来ません。
そこで本書ではマイナス感情への対応を行うにあたり、
社員を分類し優先順位をつけて対応を行うべきという流れで解説が進んでいくのですが、
その前段として、「マイナス感情が発生する以前」に、そもそもマイナス感情が発生しないような、
もしくは発生しにくいと思われる人材を採用すればいいという、
マイナス感情発生の上流から抑えにいくアプローチを勧めています。
「プログラミングの技術はとても高いけど、コミュニケーション能力が低く、営業部ではなかなか成績が伸びてこない」
「英語はネイティブレベルだけど、得意な英語を活かせる場が社内にはなく、人事部で持て余している」
少し極端な例を挙げましたが、要は本人のスペックが非常に高いため採用されたものの、
スペックを持て余している方というのは皆さんの会社にも必ずいるかと思います。
採用される側が事前にそういった状況になることを理解した上で入社していればよいのですが、
社内の価値観を理解せずにただ給料が高いからといった理由で入社していたとしたら、
そして会社側もスペックが高いことを理由に採用していたとしたら、
両者の求める価値観の差がマイナス感情として蓄積されていくわけです。
対応策として本書が示しているのは、多少スペックが劣っていたとしても、
会社の考える価値観に近い 人を採用した方が、
会社にとっても社員にとっても結果としていい結果となるということ。
筆者の勝手なイメージですが、特に大企業なんかでは、
ある程度学歴至上主義のような考え方が今でも残っており、
価値観よりもスペックを重視した採用が行われいたりするのではないでしょうか。
筆者も人事の手伝いで採用面接に関与することもありますので、
そういった価値観の観点から評価が出来るように心がけます。
離職は「最適化」すべきもの
筆者の勤めている会社でもそうですが、最近は転職エージェントが広く活躍するになり、
転職のハードルが下がってきたからか、多くの社員が日々離職していきます。
当然離職が生じれば残った人間で穴を埋めるか、新規に採用した人間で穴を埋めるか、
基本的にはこの選択になるので、いずれにせよ時間とコストはかかってしまい、
会社からすれば離職は抑えるべきリスクとして捉えられがちです。
本書ではこの離職についても、端的に言えば“良い離職”と“悪い離職”があり、
やみくもに低く抑えればよいというものではなく、「最適化」すべきものと表現されています。
人材の流動性がないと企業は停滞する(組織活性が落ちる)というのが本書の考え方ですが、
確かにその通りで、筆者の会社もそうですが、重要な仕事は大抵決まった人が担当しており、
言わばその人によって部署が生かされているわけですが、
一定の期間が経つとそういった優秀な方々は転職して抜けてしまうケースがあります。
そんなときに、周りの人間がその人の穴を埋めるように成長できるのであれば、
その離職は組織を活性化させた、新たに優秀な人材を育てるいい機会となったととして、
決して悪い離職とは言えないですよね。
そうであるからこと、こういった離職はある程度放っておいても問題はなく、
一方で悪い離職へとリソースを集中して取り組むべきというのは本書が示しているところです。
これは筆者の感覚ですが、やはり優秀な方というのはどれだけ引き留めようとしても、
会社側がその人にあった活躍の場を継続して提供し続けることが出来なければ、
やりがいを求めて次なる活躍の場を求めて転職を行ってしまうのではないでしょうか。
そしてその活躍の場を提供し続けるというのもいつかわ限界が来るわけですから、
むしろそこへの対応に時間や労力を割くより、組織の活性化という良い側面も見据えつつ、
悪い離職、例えばメンタルヘルスへの悪影響による離脱を防ぐ方が、
社員にとっても会社にとっても実益に繋がるといえます。
社員のための施策が「ぶら下がり化」を招く
最後に取り上げるのは、社員のための施策が「ぶら下がり化」を招くというもの。
仕事に打ち込むやる気はないが、転職により活躍の場を探せるほどにはスキルがないと自覚しており、
なんとなく組織に居続ける選択をすることを本書では「ぶら下がり化」と表現しています。
そして先ほど例に挙げたような良い離職を行うハイスペックな人材を含め、
離職率の低下を目的として全社員を広く対象とした人事施策、
例えばテレワークやフレックス制を導入したとします。
働きやすさの向上により導入直後こそ意図した成果が得られたとしても、
多くの社員はその働きやすさを当然のものとして認識し、
長い目で見れば離職率の改善には繋がらないと本書では説明しています。
優秀な方ほどそういった働きやすさよりも働きがいを求めていることも背景として挙げられます。
これ筆者自身もそうなのですが、コロナ禍の影響もあり、
特に緊急事態宣言中はリモートワークが公に認められているのですが、
宣言が解除された際には基本的には出社が求められるものの、
『リモートでも十分に業務に取り組めていたんだから、もう出社しなくてもいいんじゃない?』
なんてことを思ってしまうわけです。
こういった自身にとってプラスの施策というのは悪い意味ですぐに慣れてしまうんですね。
ですのでこういった施策を例えば”時代の流れだから”ということで考えなしに行うと、
むしろ受け取った社員にとってはマイナスの影響を与える可能性があるわけです。
普段からこんなことを考えながら自社の人事なんかが制度を考えているのかと問われれば、
正直そこまでは考えていないのではないかと思う節もありますが、
いずれにせよ、有効な施策を打つうえでは十分にこういった点も考慮した上で検討しないと、
本来はぶら下がるつもりがなかった方まで、「これはおいしいぞ」ということでぶら下がり化する可能性がある、
ということについては理解しておく必要がありそうです。
ぶら下がり化の是非
いかがでしたでしょうか。
ここからは完全に私見ですが、確かに会社からすれば社員がぶら下がり化してしまうと、
組織の活性化も停滞し、周りの社員のやる気を奪うなどの悪影響もあるかもしれません。
ただし、ぶら下がる側からすれば、ある程度おいしい思いを享受でき、
恐らくですが、仕事の内容自体も組織を支えている少数の優秀な社員と比較すると楽なのでしょう。
つまりはお金を楽して稼ぎつつ、かつ自分の時間も確保できる、
そういった生き方を目指すこと自体は正直悪いこととは言えないのではないでしょうか。
(多くの方の目標ではないかと個人的には感じています。)
ぶら下がり続けた結果、後になって会社から追い出されるリスク、
そして次の稼ぐ口が見つからないリスクを十分に理解し、それを受け入れさえすれば、
そいいった生き方を選択すること自体はその個人からすれば最適と呼べるのかもしれません。
このあたりは会社と社員との間にトレードオフの関係があるのでしょうから、
どちらの立場に立つのかによって大きく考え方は変わるのでしょう。
それではまた。
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