どうもこんにちは、じょんです。
今回は、いかなる企業も避けては通れない『決算』について解説していきます。
今回のポイントは以下の通りです。
- 『主要簿』は『仕訳帳』と『総勘定元帳』の2つ
- 『補助簿』の種類は企業により様々
- 『証憑』は取引を表す重要なエビデンス
帳簿の種類
主要簿
帳簿には『主要簿』と『補助簿』と呼ばれる2種類があります。
言葉通り、『主要簿』がいわばメインとなる帳簿であり、『補助簿』は主要簿のサブ的な位置づけにあります。
そして、『主要簿』に該当する帳簿は『仕訳帳』と『総勘定元帳』の2つあり、概要は以下の通りです。
- 【仕訳帳】:
⇒日々の仕訳を記録する帳簿。取引毎の計上日、勘定科目、借方/貸方の計上額、摘要等が記録される。 - 【総勘定元帳】:
⇒仕訳帳に記載された仕訳を基に作成される勘定科目毎の数字の動きを捉えた帳簿。借方/貸方別の金額の動きを追えるため、勘定科目の増減の推移を把握可能。
仕訳帳と総勘定元帳のいずれも企業によって形式は異なりますが、仕訳帳と総勘定元帳に記録された取引の合計は一致します。
逆に一致しない場合には、仕訳帳から総勘定元帳に網羅的に転記されていない可能性を疑うことになります。
なお、実務上は会計システムを導入している企業がほとんどですが、会計システムに仕訳を登録すれば自動的に総勘定元帳にも反映される仕様となっていることから、実際に仕訳帳から総勘定元帳に転記をする場面というのは今日では多くないといえるでしょう。
また、総勘定元帳についても企業によっては『勘定明細」という表現を使っていたり、実質的に仕訳帳を総勘定元帳と称して使っているケースも実務では多いというのが筆者の感覚です。
ちなみに総勘定元帳と呼ぶよりも、英語表現であるGeneral Ledgerの略であるGL(ジーエル)と呼ぶことの方が多いかと思います。
補助簿
次に補助簿ですが、こちらは主要簿と異なり、作成が必須というわけではなく、管理上の必要性に応じて作成される帳簿のことを指します。
簿記3級の試験範囲という意味では日本商工会議所が公表している出題区分表においては以下の項目が明記されています。
- 現金出納帳:現金の出納を記録する帳簿
- 当座預金出納帳:当座預金の出納を記録する帳簿
- 小口現金出納帳:小口現金の出納を記録する帳簿
- 売掛金元帳・買掛金元帳:売掛金・買掛金の計上や消込等を記録する帳簿
- 受取手形記入帳・支払手形記入帳:手形の計上や消込等を記録する帳簿
- 商品有高帳:商品の仕入・払出を記録する帳簿
- 仕入帳・売上帳:仕入・売上の詳細を記録する帳簿
- 固定資産台帳:固定資産の取得日、供用開始日、減価償却方法等を記録する帳簿
いずれも各帳簿が管理すべき対象となる勘定科目に関する各取引の詳細を記録する帳簿と理解しておけば良いかと思いますが、重要なのは必ずしも全ての企業がこれらの補助簿を全て管理しているというわけではないという点です。
例えば、重要な固定資産を持たない企業であれば、固定資産台帳はそもそも作成しませんし、支払手形記入帳も、手形での支払いを行っていない企業は当然に作成をしません。
また、それぞれの補助簿に特定のフォーマットが準備されているわけではなく(会計システム内で作成する場合はシステムの規定フォーマットがあるケースはあります)、基本的には企業によってフォーマットが異なるという点にも留意が必要です。
帳簿の締切
次に帳簿の締切についてですが、こちらは期末の決算時に、各帳簿の更新をストップするという意味で『締切』という表現が用いられています。
つまり、『締切』を行うことで、各年度の帳簿は完成し、その後の更新は翌年度以降分として取り扱われることを意味します。
なおこの帳簿の締切作業、多くの図を用いて解説することが一般的ですが、今回は筆者の能力の関係から、先駆者の方々に解説は譲ることにしたいと思います。
『帳簿の締切』というワードでGoogle検索をした際に上位表示されたサイトの中から、「これは理解しやすい」と筆者が感じたサイトを以下紹介しますので、ご参照ください。
伝票と証憑
伝票
実務ではよく使われる『伝票』ですが、これは特定の勘定科目に関する取引の相手勘定や金額等を記録した票というイメージを持っていただければと思います。
例えば、「入金伝票」であれば、入金に関係する1つの取引について、何に関する入金なのか、いくら入金されたのか等の情報を含みます。
この入金伝票を介して、総勘定元帳に入金に関係する仕訳が転記されていくわけです。
なお、入金伝票により転記される仕訳の借方は必ず『現預金』となります。なぜなら「入金」に関するとりひきのみが「入金伝票」に記録されるからです。
他にも「出金伝票」や「売上伝票」など企業によって用いる伝票の種類は多種多様ですが、「出金伝票」であれば転記される仕訳の貸方は必ず『現預金』となります。背景は「入金伝票」と同様です。
もう1つ覚えておきべき伝票の種類がありますが、それが『振替伝票』です。
これは先ほど説明した「入金伝票」や「出金伝票」のように特定の勘定科目に限った取引を記録するのではなく、仕訳の借方・貸方の双方で用いる勘定科目や金額を記録した伝票を指します。
例えば、ある企業が個別の伝票として「入金伝票」と「出金伝票」しか用意していない場合、掛けでの売上に係る仕訳は「入金伝票」と「出金伝票」のいずれにも記載されませんから、「振替伝票」を用いることになるわけです。
また、一度記帳した仕訳の勘定科目を別の勘定科目へと振り替える際にも「振替伝票」は使われます。
例えば、現金10万円を仮払いした際には、まずは出金伝票を用いて10万円の支出を記録しますが、10万円の使い道が後日判明した際には、『仮払金』から他の勘定へと勘定科目を振り替える必要があり、その場合に「振替伝票」が用いられます。
証憑
企業が仕訳を切る際には、多くの場合、何らかの資料に基づいて仕訳を作成することになります。
既にお勤めの方であればイメージがつきやすいかと思いますが、例えば出張をした際に出張旅費を経費で落とすために必ず領収書等の資料を経理部に回付することが一般的です。
ここでいう領収書等の資料のことを簿記や会計の世界では『証憑(しょうひょう)』と呼びます。
簿記の試験においては、与えられた証憑から必要な仕訳を考えさせる問題が出題されることがあります。
なお、やや実務的な話になりますが、証憑が備えておく要件の例としては以下の点が挙げられます。
- 取引発生日が記載されていること
- 取引金額が記載されていること
- 取引の相手先が記載されていること
- 取引の相手先が発行した資料であること
- (可能であれば)原本または原本のコピーだと確認できること
1-3は仕訳を切る上で必要な情報として必ず含まれている必要がありますが、4-5についてはその取引が実際に発生したものなのか、数値等が改ざんされていないかの判断を目的とした要件となっています。
よく聞く話ですが、社員が出張旅費を実際の費用より多く社内で請求して差額を懐にいれてしまったりといった不正事例がありますから、経理部や総務部といった処理部門は取引の相手先が発行した資料を求めたり、ときには資料の原本を求めたりするのが一般的です。
今回のまとめ
いかがでしたでしょうか。
本日の解説をもって、簿記3級の試験範囲は一通り網羅できたかと思いますので、次回は全体のまとめの記事を投稿する予定です。
それではまた。
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