どうもこんにちは、じょんです。
以前に以下の記事で紹介した本の著者であり、『日本のウォーレン・バフェット』と呼ばれる奥野一成さん。

この本、筆者は久々に名著に出会ったと思えるほどに勉強になったので、是非皆さんにも読んでみて頂きたいのですが、同じく奥野さんにより書かれたコチラの本もついつい購入してしまいました。
本の構成としては、『お金とは何か?』という説明から始まり、経済や投資、会社の仕組みに関する解説に繋がり、最終的にはどういう人間になればお金持ちになれるのか、ということが理解できるようになっています。
タイトルの通り、15歳以上の中高生を主な対象としている向きはありますが、内容としては大学生から社会人になりたての方まで知っておくべき内容が詰まっており、是非中高生だけでなく幅広い方に手に取ってみて頂きたいと思えるものでした。
今回はそんな本書から、筆者が気になった点を3点取り上げていきます。
世界は変わっても変わらないものとは?
皆さんもご存知の通り今はVUCAの時代なんて言われていますが、1年先の未来も性格に見通すことが難しいほどに時代の流れは速いといえるかと思います。
ただし本書によれば、どれだけ世界が変わっても、お金持ちになるために必要な変わらない条件があるというのですがそれが、
『「付加価値の提供」を出来た人が成功するという事実』
だというのです。
付加価値の定義は様々ありますが、本書では『人のためになる』『人の役に立つ』と定義されています。
つまり、人のためになったり、人の役に立つコトやモノを提供することが出来た人が成功するということを表しています。
結局のところ、成功するビジネスというのは、この付加価値を提供していることが明らかです。
例えばアップルについてはコアなファンが多いことでも有名ですが、利用者がアップル製品を持つことで得る満足感という付加価値をユーザーに与えることで成功しているわけです。
もしくはグーグルは、物事を調べたいという利用者に対して、優秀な検索エンジンを提供することで、利用者からすれば即時に求めている情報を得られるという付加価値を与えているわけです。
一方で、昨今は銀行の業績が傾き始めているという話題もニュースでよく聞くようになりました。
かつての銀行は融資を行うことでお金を必要としている企業や個人に対して付加価値を与えていましたが、今では特に個人間での融資の手法としてクラウド・ファンディングが台頭してきており個人からすればわざわざ利息を払って銀行からお金を借りる必要性が薄れてきていると言えます。
また、貯金による利息も限りなくゼロに近いわけですから、利用者からすれば銀行のサービスから得られる付加価値は過去と比較して急激に下落しているということが言えるわけです。
このように、企業・個人を問わず、付加価値を提供することが、成功するために必要であるということは昔も今も変わっておらず、また、将来においても変わらないということが本書では書かれていますが、筆者としてもまさにその通りであろうと感じました。
高配当企業には近づくな!
最近よく目にする『高配当株投資』。
配当を多く出す企業に投資することで、安定的に配当収入を得ようという趣旨のものですが、奥野さんの考え方からすると、手を出してはいけないというのです。
この話の背景にはそもそもなぜ企業は配当をするのかということについて考える必要がありますが、企業は稼いだ利益の内、一部を企業の将来の成長に向けた投資に、一部を株主に対する還元に、それぞれ分配していきます。
前者は『内部留保』、後者は『配当』とそれぞれ呼ばれます。
この前提からわかる通り、配当の源泉は企業の利益となるわけですが、配当を多く出すということは、見方を変えれば、将来の成長に対する投資を抑えるということを意味します。
実際に、優良企業、例えばGAFAなんかはあれだけの利益を獲得しているにも関わらず、Appleこそ多少の配当を行っているものの、他3社は直近では配当を一切支払っていませんし、投資家も配当よりも投資に回すことを望んているわけです。
配当を受けるという事実自体は個人投資家としてはうれしいのですが、その反面、企業から利益が株主に還元されることで一般的に株価は下落します。
そして、内部留保が減ることにより、企業の将来の成長に対する投資が抑えられた結果として、競合他社との競争に勝てず、もしくは、時代の変化についていけないといった場合には、株価はさらに下落していくことが想定されます。
ですから、高配当企業というのは、将来の成長の可能性をある程度捨てて、いわば株主からの人気を集めているという見方をすることも出来るわけです。
もちろん全ての高配当企業が上記に該当するわけではなく、既に高い参入障壁やブランドイメージにより、内部留保をそこまで必要としていない企業であれば、高配当により株主へと還元することも筋が通ると言えるのではないでしょうか。
また、高配当株と同様に、株主優待で個人投資家からの人気を集めている企業も、先に触れた高配当企業と同様に投資対象としては適切ではないというのが奥野さんの見解のようです。
構造的に強靭な人間になれ!
以前に紹介した奥野さんの著書『教養としての投資』にて、投資対象が備えるべき要件として『構造的に強靭な企業』というものが挙げられていましたが、本書では、人も構造的に強靭になることが求められているというのです。
以下は『構造的に強靭な企業』たるべき3要件と、それに対応する『構造的に強靭な人』が備えるべき要件を表にまとめたものです。
(前者については『教養としての投資』とは若干表現が異なる点に留意)
構造的に強靭な企業 | 構造的に強靭な人 | ||
付加価値 | 人の役に立ってなんぼ | ||
競争優位性 | 基礎を固め発展させる | ||
長期的潮流 | 歴史観を持つ |
人の役に立ってなんぼ
これは読んで字のごとくですが、社会に出た後は人の役に立つことが求められます。
逆を言えば自分本位でいるだけではお金や信頼、地位といったものを手に入れることは難しいと言えるでしょう。
基礎を固め発展させる
他者との競争優位性を付けるためには、社会人としての基礎を固めた上で、強みを発展させる必要があるということです。
学生自体に学んだ事に加え、社会で求められるであろう追加スキルとして本書では『会計』『統計』『プログラミング』の3つが取り上げられており、それらを身につけた上で、自身の強みを発展させることを本書では進めています。
ここでいう強みを考える上で参考となる言葉として『ダブルキャリア』というものが挙げられています。
これは、例えば医師であれば、法律を学ぶことで『医療裁判に強い医師』といったように、2つの専門性を掛け合わせることで、いわば自身の色を持つということを意味しています。
歴史観を持つ
最後の『歴史観を持つ』ですが、こちらは何も何年に何が起こったのかを正確に覚えるということを求めているわけではなく、歴史の流れがどのように推移してきたのかを知ることで、今後の世界の流れを予測するのにある程度役立つということを本書では示しています。
例として、AIが昨今頻繁に話題に挙がることで『将来AIに職を奪われるのでは!?』といった危機感をメディアが煽ることもままありますが、歴史をみれば同様のイノベーションは過去にも起こっていたところ、失われた職がある一方で新たな職が生まれるため、結果として多くの人間が職を失うということは想定しづらいと言えるようです。
例えば第一次産業である農業について、農業の近代化の過程で、農耕器具が進化し必要となる人手は圧倒的に減ったという事実がある一方で、第一次産業で不要となった労働力は農耕器具を含めた第二次産業である工業に吸収されたわけです。
更に言うと、工業についても工業用の機会の発展により工業の自動化がなされ人手が不要となった結果、今度は大三次産業であるサービス業がその労働力を吸収してきた経緯があります。
ですので、こういった歴史を知っておくことで、新しい事象が生じた際にも下手に右往左往することなく冷静な判断が可能となる、そんなことを本書では説明しています。
さいごに
いかがでしたでしょうか。
本書を通して、お金もちになるために必要な知識を身につけられるだけではなく、人として成功するために必要な基礎について知ることが出来るかと筆者は感じました。
もちろん時代は常に流れていきますから、その時々で必要な知識などは異なってくる可能性もありますが、是非筆者としても自分の子供には15歳といわず、もっと早いタイミングで本書を読んでもらいたいと思います。
皆さんも是非、ご自身のためだけではなく、お子さんのために手に取ってみてはいかがでしょうか。
それではまた。
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